ポジティブプラス 14

どういう意味? 鳥居さんの部屋に行くって……。

絶対アレしかないよね。どうしよう……。貫井さんのときと同様、心は躊躇してるが、体は欲しがっている。でも、それをしてしまうと、ユカリさんを裏切ることになる。「私を信じて」とカッコいいことを言ってしまった手前、 裏切るわけにはいかない。

そのときだった。突然天使のような声が聞こえた。

「ママ~、オシッコ」

私と鳥居さんは咄嗟に振り向いた。傍に真奈ちゃんが立っていた。

「マナちゃん……! いつからいたの?」

鳥居さんは慌てて、私の上から体を起こした。

「オシッコ」

と、また言った。とにかく鳥居さんは真奈ちゃんをトイレに連れて行った。5歳の真奈ちゃんには、私たちがしていたことに興味はないようだ。オシッコを漏らしてはいけないと、そればかりだった。

よかったのか、悪かったのか。絶妙のタイミングだ。

すっかり気分をそがれてしまった私たちは、そのまま床に就いた。

翌朝、お店に向かう車の中で、鳥居さんは言った。

「昨日は、ごめんなさい。私どうかしてたみたい」

「何言ってるんですか、ただの悪ふざけじゃないですか。気にしていませんよ」

本当は真奈ちゃんに救われたのかも知れない。あのまま続けていたら、きっと大変なことになっていたと思う。私はユカリさんを裏切ったという傷を負い、鳥居さんも私との関係に溺れてしまったら、仕事どころではなくなってしまう。あれでよかったのだ。

「マナの小さな手を握ったら、私、なにやってんだろう、って思ったの。一番愛してあげなきゃいけない子を放っといて」

「そうですよ。私なんか抱く暇があったら、マナちゃんを抱いてあげなきゃ」

「うん、そう思った」

鳥居さん、晴れやかな笑顔を浮かべた。

「さあ、今日も元気に頑張りますよ!」

お店のスタッフの顔つきも変わってきた。鳥居店長が元気になったお陰で、皆、生き生きしてきた。私が来る前とはまったく違う。時おり、スタッフの前でジョークも言うようになってきた。職場がいつも明るい。

もう、私がいなくても大丈夫だ。このお店のこれからが楽しみだ。お客様に対する接客もばっちりだ。元気のない木村君もいい笑顔になった。

とはいえ、私も何か企画を考えなければならなかった。でなければ、なんのために一週間お店で働いたのか分からない。もはやこのお店は企画など必要もないが、シンプルにスクラッチキャンペーンをすることにした。

お客様にスクラッチカードを配り、当てた商品をお渡しするという単純なものだ。これならお客様も分かりやすい。全く新しいことを考えると、スタッフの負担も大きくなる。

そんな感じで私の一週間は、あっという間に過ぎてしまった。

「ええ? 送別会ですか?」

「そう、みんなが是非やりたいんだって」

鳥居店長が言った。

「でも、一週間しかいなかったのに、申し訳ないですよ」

本心は嬉しかった。そんなことやってもらうのは初めてなのだ。

「そんなの関係ないわよ。もうお店も予約してあるんだって」

「そうなんですか。わかりました」

お店が予約してあるなら、行かないわけにはいかない。私は遅番のスタッフに丁重に挨拶して店を出た。

送別会は早番のスタッフだけで、盛大に盛り上がった。もちろん鳥居店長も参加している。

途中、トイレで鳥居店長にこっそり言われた。

「ねえ、あの夜のことは、誰にも言わないでね」

「当たり前ですよ、言えるわけないじゃないですか。私と鳥居さんがレズだなんて」

私がジョークを言ったら、鳥居さんはオバサンのように、手で口を押えて、私の肩をポンと叩いた。

「鳥居さん、寂しいなら、誰かいい人を見つけた方がいいですよ」

「うん、そうする」

次の日から、私は本社営業企画部に出勤した。

「おはようございまーす」

私が入っていくと、皆が元気に挨拶してくれた。

「どうだった? 久しぶりの店舗営業は?」

夏目さんが言った。

「コーヒー飲み過ぎたんじゃないの?」

と坂上君が冷やかす。

「バーカ、お前とは違うよ」

上田さんがフォローしてくれた。いつもの光景だ。この雰囲気が好きなのだ。みんながジョークを言える空気。これが大事だと思う。

「おはよう、花沢さん」

ユカリさんが出勤してきて、私の後ろから声をかけた。当然、皆の前では花沢さんと呼ぶ。

「結局、スクラッチにしたんだって? 一週間も視察した割には普通ね。なんのヒネリもないのはどういうわけかしら?」

ユカリさんはそう言いながら、デスクに着いた。嫌味っぽい口調だ。でも、怒ってなどいない。私をからかっているだけだ。すでに鳥居店長から聞いて、全てを知っているはずだ。私の貢献を。

「部長、お言葉を返すようですが、売上を上げればいいんですよね? 活気あふれるお店と、活気のないお店では、同じスクラッチでも、その効果は全く違うと思います。一か月後を見ていてください」

「あら、大した自信ね。わかったわ、楽しみにしてるわよ」

ユカリさんは笑みを浮かべた。

その夜、私はもちろんユカリさんのマンションに行った。私を部屋に入れると、ユカリさんはいきなりキスしてきた。

「一週間も会えなかったのよ。寂しかったわ」

「しょうがないじゃないですか。私をあの店に指名したのは、ユカリさんなんですよ」

「そうだけど……一週間もお店に出るなんて思わなかったわよ。勝手に決めちゃって」

ユカリさんは口を尖らせた。ちょっと拗ねているみたいだ。でも、それが可愛い。12歳も年上だとは思えない。

「ごめんなさい。でも、これであのお店は大丈夫ですから、ユカリさんの株も上がるでしょ」

チュっと私はキスをした。

「まさか鳥居ちゃんと、こんなことしてないでしょうね」

「まさか、なに言ってるんですか。実家にお世話になってたんですよ。お母さんも子供さんもいたんですよ。できるわけないじゃないですか」

私は後ろめたさを感じながら言った。しかし、あれは鳥居さんに強引にされたのだ。私の意志ではない。

「じゃ、いいけど……今日は泊まってって」

「ええ?」

「やだ、帰さない。一週間も会えなかったんだもん、朝まで一緒にいて」

「わかりました」

こんな子供みたいな姿を、同じ部署の皆は想像もつかないだろう。これを知っているのは私だけだ。会社とプライベートを見事に使い分けているのだから、大したものだと思う。ユカリさんは以前よりも優しくなったが、仕事では厳しいことをいう時もある。まあ、それは上司だから仕方ないが。

「で? エッチの仕方わかりましたか?」

ユカリさんは首を振った。

「アヤが調べてくれるんじゃないの?」

調べるって、あれって調べるもんなの?

「いえ、まだ調べてません。今から観ましょうか? せっかくの機会だから。パソコン立ち上げていいですか?」

「う、うん、いいけど……」

私は机の上のパソコンを立ち上げた。

「ネットで観られるの?」

「と、思いますよ」

私はまず、レズ動画で検索した。いろいろ出た来た検索結果の中から、適当なものを選んでクリックしてみた。

トップページからエッチな画像が出てきた。無料動画と書いてある。下にスクロールしていくと、いろいろあるみたいだ。

私は適当に、その中の一つをクリックした。

再生ボタンをクリックする。可愛い感じの女の子が二人、キャミソール姿で見つめ合っている。ベッドの上だ。いきなりゾクゾクする。

「うゎ、出た」

ユカリさんは興味津々だ。私も人のことは言えないが。二人でしばらく無言で画面に見入った。

画面の中の女の子たちは、普通に会話をしている。そしてキスする場面になり、恥ずかしそうに笑いながら、少しずつ顔を近づけていく。

チュ、チュとする。ここまでは普通だ。私とユカリさんもキスはする。問題はこの先だ。

二人とも徐々に興奮してきて、やがて舌を絡め合って、濃厚なキスを始めた。

横目で見ると、ユカリさんは真剣に見ている。

「ここまでは私たちもしますよね」

「うん」

画面に見入ったまま、ユカリさんは生返事をした。私は恥ずかしくなって、ついつい会話を挟んでしまった。空気を読めていないのだろうか?

一人の女の子が首筋に舌を使いだした。もう一人の子は、目を閉じて恍惚の表情を浮かべている。そうしているうちに、キャミソールの肩紐を下に下げて、乳首にキスをし出した。されている女の子は「あん」と声を上げる。

「こんなことするのね……」

ユカリさんは言った。私は無言だ。

「いやだ、恥ずかしい、赤面しちゃう」

ユカリさんは両手を顔にあてて、目だけは画面を見ていた。

攻めている女の子が、もう一人の子のショーツの中に手を入れた。なにやら中で、モゴモゴと動かしている。それと同時に声も大きくなってくる。

「いやーすごい、何してるのあれ」

「女の子でも、こんなことするんですね」

「することは男と変わらないわね」

「女の子がするからいいんですよ、きっと」

二人でじっと見ていると、やがて攻めの女の子はショーツを脱がせて、股間を舐め始めた。

「すごい、あんなことしてる。いいの? ここまで見せても。すごいのね、今のエッチビデオって。初めて観たわ」

今の、ということは、昔のは観たことがあるのだろうか?

「私もです。気持ちいいんですかね」

「うーん、どうなんだろう」

私はじっとユカリさんを見つめた。

「ユカリさん、して欲しいと思います?」

画面を指さして、私は言った。

「ちょっと、そういうこと訊くの? 言えないわよ、そんなこと」

「ですよね」

結局、その動画は30分ほどで終わった。一人の女の子があるとこまで攻めると、攻守交替して、お互いに感じ合う。そして最後は股間を合わせて、腰を振って、イってしまった。私たちは、「きゃ」とか「すごい」を言い合っていた。

女性同士の上司と部下がエッチ動画を観ているなんて、そうはないだろう。動画はまだまだ他にもいろいろある。女子高生同士とか、女医と看護師。先生と生徒etc。

「次、これ観よ」

と言って、ユカリさんも結構ハマってきたみたいだ。そして勝手に自分で再生ボタンを押す。そんな時間を過ごして、気が付いたら12時を回っていた。明日も仕事だ。早く寝た方がいいのに。

「どうですか? 少しは勉強になりましたか?」

「うん、まあね」

「してみます?」

「え?」

「え、じゃないですよ。なんのために観たんですか? しなきゃ意味ないじゃないですか」

「そう……よね」

なんだかユカリさん、気が乗らないみたいだ。あまりにもグロテスクな画像で、ちょっと引いてしまったのだろうか?

「したくないですか? 私とじゃ」

「そんなことないわよ! なに言ってるの」

「じゃ、とりあえずベッドに行きましょ」

私は立ち上がって、ユカリさんの手を掴んで、寝室へ行った。

ベッドの横に立つと、私は着ている物を脱ぎ始めた。

「ちょっと、アヤ……」

「何してるんですか。早く脱いでください。私だけじゃ恥ずかしいじゃないですか」

「あ、あ、うん」

ユカリさんは私に押されて、躊躇いがちにトレーナーを脱いだ。二人で、下着姿になると、ベッドに上がった。

あの動画の女の子たちのように、ベッドの上に座った。

「どうですか? 興奮します?」

私は顔をニヤつかせて言った。ユカリさんは恥ずかしそうに笑った。

「うん、やだ、恥ずかしい……」

ユカリさんはまた笑う。本当に恥ずかしそうだ。私だって死にそうに恥ずかしいのだ。

「ユカリさんの体、綺麗ですね」

「そんなに見ないで。アヤだって、綺麗じゃない」

「ありがとうございます。じゃ、キスしてみますか?」

「うん」

こうして改めてすると、本当に笑ってしまう。あの動画の女の子たちみたいだ。あれは単にヤラセじゃなかったんだ。本当にああなる。

キスしようとすると、なんだか可笑しくなってしまう。なかなかチューが出来ない。そして少しずつキスをする。まったく動画通りだった。

しばらくキスを続けていた。そうすると物足りなくなって、胸に手がいってしまう。私はユカリさんの胸を手のひらで、そっと掴んだ。

「気持ち、いいですか?」

胸を優しく揉みながら、私は訊いた。

「……うん」

ユカリさんはそう言って、恥ずかしそうに俯く。照れ笑いをしながら、私が胸をさするのを、じっと味わっている。

「気持ちいいですか?」

私はもう一度訊いた。恥ずかしそうにしているユカリさんを、少しからかってやりたくなった。私の手前、どんな顔をしていいか分からないでいる。曖昧な笑みを顔に張り付かせていた。

「うん、気持ちいいよ」

「まだ、照れてますよね。自分に素直になってください。感じてるなら感じてる顔を見せて、ユカリさん」

私も恥ずかしいが、ここは私がリードしないと先に進めないのだ。ユカリさんは頷いて、目を閉じた。私はユカリさんの胸を揉み続けた。

次第に、恍惚の表情を浮かべてくる。そうしているとユカリさんは言った。

「ねえ、横になろ」

座ったままでいるのが、疲れるみたいだ。私たちは掛布団をめくって、ベッドに横になった。

私はユカリさんを組み敷いて、改めてキスをした。今度はすぐに舌を絡める濃厚なキスになった。

「ビデオで観たこと、するね」

キスを中断して、私は言った。

「うん、して……」

今度は色っぽい声だ。ベッドに横になったら、リラックスしたのか、ユカリさんは遠慮なく自分をさらけ出した。私は首筋にキスをして、舌を這わせた。

するとユカリさんの口から、悩ましい声が吐かれた。こんな声は初めて聞く。ユカリさんが感じている光景は感動的だった。

思えば、あの厳しかったころ、ユカリさんとこんな風に肌を合わせるなんて、想像も出来なかった。私はこの人から逃げたいと思っていたのだ。大嫌いだった。なのにこんな風にして、愛撫をしている。本当に人生なんて、何が起こるか分からない。

資料室でユカリさんに探し物を頼まれたとき、私は、本心では嫌じゃなかったのではないだろうか? 自分でもよく解からないが、心のどこかでユカリさんに憧れていた自分がいたのかも知れない。

私がユカリさんの部署に配属されたのも、運命の出会いだったのではないだろうか? とさえ思えてくる。

ユカリさんの体は本当に白くて、柔らかくて、綺麗だった。私はその憧れていた美しい体を大事に愛撫していく。やっぱり、ユカリさんは他の女とは違う。貫井さんとも夏目さんとも、鳥居さんとも、ぜんぜん違う。比べ物にならない。別格だ。

私は首筋に愛撫を送りながら、胸元に移動してきた。バストの近くまでくると柔らかさが増した。背中に手を回して、ユカリさんのブラのホックを外した。肩紐を下ろしてカップをめくると、乳房が見えた。

私はまた感動を覚えた。


つづく・・・



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by sousaku63 | 2017-03-17 10:35 | ポジティブプラス | Comments(0)

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